「雨、止まねーなぁ……。」

窓辺からずっと降りしきる雨を見つめていた。
今日は折角のサッカーのオフで、用事もなくて、
……デートだったのになぁ。

ふっとため息をつく。
普段はなかなか誘ってくれないから
本当に嬉しかったのに、
なんでこんな日に限って雨なんだよ。

滅多に降らねーくせに……。

しばらく止みそうにないとの予報がラジオから流れてくる。
「今回のデートはなし、か。」
つまんねーの……。
そう呟いて自分の部屋に戻ろうとした

そのときだった。















れいにぃ














「おーい、デートの迎えに来てやったぜ。」
「……え?」

聞き覚えのある男の声が叫ぶのが聞こえる。
大好きな、今日待ってたあいつの……!
1 ばっとカーテンをあけるとそう、あいつの姿。
見間違えるはずもない、いつもと同じ真っ黒い軍服。
雨に濡れてもそんなことおかまいなしだという風に、そこで笑ってる。

「おいおい、最低でも出迎えくらいしてくれよ。」
慌ててさびた柄の傘をさして外へ出るとそう苦笑を漏らす真っ黒な軍服。キアの姿。
雨なんて何でもないって顔してる。
「でも雨降ったんじゃ外には出かけられねーと思ったから……。」
そっともう1つ持ってきた綺麗な傘を差し出してゆっくりと差し出す。
少しだけ背伸びしないと届かないのがなんだか悔しい。
「ん、サンキュな。」
「あ、あぁ。うん。」
ふわっと頬にキスされて少しだけどよめいた。

「あー今日は雨なんておかまいなしにバイクでかっとばそうと思ったんだけどよ、」
そんな顔見せたくなくて少しだけふせた顔にあいつの声がふってくる。
「折角お前が傘持ってきてくれたし、たまには2人で雨の中デートもいいかもな。」
くすくす笑いながら、追い討ちをかけるようにそんなことを言うキア。
「お前は、どっちがいいんだ?」
「う……っ。」

本当はどっちだっていい。
キアといられれば場所なんてどこでもいいんだ。
でもそんなこといえるわけねーじゃん……。

ますます火照りの増していく顔を見つめてキアがニヤニヤしてる。
わかってやってる
絶対こいつわかってやってる!
だったら……!

「りょ、両方!……俺、時間無駄にしたくないし、それに折角キアが来てくれたんだしそれに……。」
素直に言ってやった。
してやったりって思ったのに、キアはますます笑いをおさえるのに必死になっている。
「なんで笑ってんだよ!」
少しだけムッとしてキアを見上げた。
「だってお前のその、勝ち誇ったような顔が面白くて。」
一度言ってしまうと堪えられなくなったのかキアは吹き出して笑い出してしまう。
「またバカにしたなーっ!」
すっとその傘をキアの手から取り上げる。
言葉ではなんて言い返したらいいのかわからないし、
勝てないって……多分、わかってるから。

「わっ、悪かったって!」
驚いてすぐに謝ってくるキア。
すぐに許してやるのも何だかしゃくだって思っているのに
傘をすっと差し出してしまう。
なんでだろ……。
問うまもなく答えなんて出ている。それもまた、わかってるんだ。

ふいっと顔を逸らすと、そらしたほうにあわせて優しくキスをしてくれる。
それからきゅっと肩を抱く。
逃がしてくれないんだ。

「わーったよ、ったくわがままだなぁお前。」
わしゃわしゃと髪をかかれながら俺は小さく呟く。





「ありがと。」





それからどうしたといえば、
何故か強い風で壊れてしまったさびれた傘をおいて
2人で綺麗な傘の下、しばらくどこ行くあてもなくなんとなく散歩して歩いて、
そのあとキアのバイクの後ろにのって雨の中、かっとばして走った。
冷たくぶつかってくる雨が、どうしてか気持ちよかった。
そのあちとは水溜りも構わず泥まみれになりながらサッカーして
2人でお互いのそんな汚れた顔を見合って大笑いした。

次のデートの約束はもちろん
キアの風邪っぴきで1度おあずけになっちゃったけれど、

またキアのところに出かける口実が出来たから、それでいいや。
こんな雨なら大歓迎、なんて俺
ちょっと不謹慎かな?




















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落ちてない、そもそもドイツにほとんど雨は降らないんじゃないかな…。
とりあえず雨の中でもバイクふっとばすキアとイェンス
そして傘でまったりデートをするキアとイェンスが頭に浮かんだからこんな話。
しかもほとんど書いてない。いちゃこらさっさ。

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