タイトル『A lacking heart』
好きで好きでしょうがなくて
もうこの気持ち、我慢できそうになかった。
だから伝えた。
私の素直な気持ち、今の想い。
もちろん彼にもう既に付き合っている相手がいることも
承知の上のことだった。
彼は優しい人だから
困らせたくなかったけれど
それよりも私の気持ちを知っていて欲しい
そんな気持ちが勝ってた。
「ごめんね」
わかってはいたけれど聞きたくなかった答え。
耳を塞いで嫌だと首を振っても
……彼は困ったような顔をするだけだった。
「私が……ごめんなさい。搭哉くんを困らせちゃったのは私なのに。」
俯く私を彼は今、どんな目で見ているんだろう。
「
ちゃん……。」
暖かな手のひらで私を撫でてくれている搭哉くんは今、どんな目で……。
涙が出そうだった。
気持ちを伝えられたら充分だったはずなのに
私はやっぱりどこかで期待していたみたいだ。
その期待を裏切られてしまったようで胸が張り裂けそう。
それなら……最後に、
「最後に、抱きしめてください。お願い、これだけ……お願い。」
歯を食いしばっていたはずなのに
いつの間にかたまりにたまってしまった涙が
こぼれてしまっていた。
「それは、出来ないんだ。ごめんね。」
けれど彼は、私の目を見てこう言う。
彼のそのまっすぐな瞳は紳士的で男、そのものだった。
優しいいつもの彼の碧い目の中に何かすじのようなものが通っている
そんな強さを感じさせる男の瞳。
「これは僕のケジメなんだ。君と彼女を同等に扱うことは出来ない、男として」
そして、大切な彼女の恋人としてね。
凛々しかった瞳がふっと優しくなる。
そして彼はハンカチを取り出し、私の涙を拭ってくれた。
「
ちゃんのことは大好きだよ、大切な『友達』としてね。」
だから泣かないで、笑っていてねと
搭哉くんは微笑む。
「うん!」
笑顔で返事をした私に、彼はとても嬉しそうにしていた。
こんな凛々しくて優しい彼が好きだから
余計に辛くなってしまうのかなぁ……
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タイトルは寂しい心とかそういう意味です。
たまには悲恋、前はよく書いてましたけど
最近頑張って前に進もうとするお話が多かったかも…。
何故か一ノ瀬搭哉、彼にも想い人くらいいると思うんですよねぇ
野球以外のことってミズくんにスポットライトあたってるの多い気もするけど。
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