タイトル『ずっと一緒だね』


「誕生日おめでとう!それとプロ入り、おめでとう!」
私が作ったちょっとだけ形の崩れたチョコレートケーキの上。
そのろうそくの火がふっと消える。
ミズくんがそっと息を吹きかけると部屋は一気に暗くなった。
一度消した電気をまた明るくして
私はそのケーキにナイフを入れる。

「はい、どうぞ。味は保障出来ないけどね。」
「そういってまずかったことなんてなかったじゃねーか。」
そんな風に言ってミズくんはフォークでひょいっとケーキを一口。
「うん、相変わらずお前こういうことだけは手際いいよな。」
「はいはい、ありがとう。」
なかなか素直にいえないのを私は良く知ってる。
フォークを持つ手を止めることなく食べ続けるミズくんを
私は向かいでずっと見つめていた。

来年は同じように過ごせるのかなぁ……

去年、高校生ながらドラフト指名されたミズくんは
今年から現役のプロ野球選手となる。
今までのようにはいかない。
試合にあわせていろんなところへ行かなくてはならないし
寮に入る予定のミズくんはこちらへ帰ってくることさえ
自由には行かない。
こんな風に一緒に過ごせる時間も限られてしまう。

ぽたぽた……
そっと自分の頬に触れると冷たいものが滑り落ちていた。
「おい!ど……どうしたんだよ!急に泣き出して!」
何が何だかわからないミズくんは大慌てになりながらも
そんな私の涙を拭ってくれる。
「ケーキ美味いってば!な!本当、どうしたんだよ?」
ミズくんは心配そうに俯いてしまった私を覗き込む。
「ごめんね、ミズくんの誕生日なのに……私泣いちゃって嫌な想いさせて……。」
「そんなことはいいから!」

ぎゅっ
テーブルを乗り越えてミズくんは私の頭を抱えた。
そして優しい声で囁いてくれる。
「いいから言ってみろ。俺で力になれることだったらなってやるから。」
「来年もこうやって一緒にいられるかなって……思ったら……。」
言葉にするともっと寂しくなった。
涙は溢れ出して止まらなくなる。
「来年も私が焼いたケーキ、出来立て、食べてもらえるかなって。」

「馬鹿だなぁ、 。」
一度離れるとミズくんは改めてこっち側へきて
そして改めて私の腰を両手できゅっと掴んで抱きしめた。
「大事なのは気持ちだろ。離れてたっていつだって俺は のこと考えてる。」
「わかってるの……わかってるけど!でも……」
もう涙だか鼻水だかなんだかわからない。
いろんなものが、気持ちが流れ出る。
「ミズくんがプロになって活躍するのは嬉しい、嬉しいのに……でもね!」
「……そんなこと言ってるけど俺だって、本当は寂しいよ。」

滅多に聞かないミズくんの本音。
いつだって弱音なんてはかないで前だけ見てるミズくんの
そんな言葉。
初めて耳にした、そんな気がする。

「嘘……。」
「んなわけあるか!」
きまづいのか少しだけ視線をずらしてミズくんは言った。
と離れるの寂しいよ……けど俺も我慢する。だから帰ってきたら……その……」
「……帰ってきたら?」

「その分お前とケーキ食ってこうやって一緒にいたいって思ってんだよ!」
頬を真っ赤にしながら
視線を泳がせながら
でも間違いなく
ミズくんが私に言ってくれた
そんな嘘みたいな言葉。
「ミズくん!」
抱きしめられる腕の中でそっと私から送るキス。
「ありがとう。」

「だーっ!もう何恥ずかしいこと言わせんだよ!」
ヘアバンドをちょっとだけ下にひっぱると
残りのケーキを一気に放り込むミズくん。
そしたら案の定むせちゃって。
「水水!げほげほっ!」

きっと大丈夫。
来年こうやって一緒に過ごせても過ごせなくても
心がいつも一緒だから。
ずっとミズくんと一緒だね。

「頑張ってね!いい報告しか聞かないからね私!」



















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ミズくんの誕生日だってことすっかり忘れてた…。許せミズくん!
たまたま検索かけてたら思い出したのよ…orz
ってなわけでお詫びもかねて自分としてはありえないくらいの糖度の高さです。
普段こんな甘ったるいラブラブ全開なの書かないからな私。
珍しくヒロインがネガティブな女の子らしい感じのコだし。
だいたいミズくん相手だと振り回すくらいパワフルなヒロインでしか
書いてないんじゃないか…?
つかどっかに転がってそうな話だよねこれ…。
やっぱり許せミズくん!これでもミズくんはパワで一番好きな片割れなんだよ!
本当だよ!


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