タイトル『振り向いて』















“好き”
私が彼への本当の想いに気づいた時
その時もう既に私は
彼を抱きしめて放さなかった
私の腕の中でもがく彼をただぎゅっと
きつく抱きしめ続けていた。















弟のようにずっと可愛がっていた。
他に何も見ることもないように野球に打ち込んでいた彼
その時は真剣な眼差しを見せるのに
普段は元気のいい普通の男の子で……
でも私に気を使ってくれたり、きちんとしたところもあって。
“可愛い後輩”だった。
2つも学年の違う彼を恋愛対象としてみることもなく
過ごしていたのに……。



そんな彼が最近ずっと元気をなくしていた。
その理由をそっと彼の親友である犬河くんに問いただすと
好きだったこにふられた、との答えが返ってきた。
野球の練習にも身が入らないようで
監督にしかられてはうつむいているばかり。
やはりこのことが影響しているのだとわかってしまった。
寂しそうなその背中に私は思わず声をかける。
「ねぇ猫神くん、今日一緒に帰らない?」
「……あ、 さん。そうですね……いいですよ。」
気づくまでにも時間がかかって
寂しそうな横顔には疲れの色も見える。
少しでも笑顔にもどしてあげたいなって……

「ねぇ最近元気ないんじゃない?」
やっぱりうつむいているだけの猫神くんに私はそっと切り出した。
「そ、そんなことないッスよ。ちょっと野球で調子が悪いッスけどね。」
慌てた声で笑う猫神くん。
でもその瞳は笑ってなんかいなくて……
「でもそれにしちゃちょっと……。本当にそれだけ?」
「本当ッスよ、…… 先輩が気にすることじゃないッス。」

無理しないでよ
話して欲しい
そしたらすっきりするのに
どうして
心配かけたくないから?
それとも私じゃ役不足なの?
どうしたらいい?
どうしたら私はあなたを助けてあげられる?

その瞬間
私は彼をぎゅっと抱きしめていた。
驚いて猫神くんは固まってしまう。
その右手にあったかばんはそっと道端へ落ちて……

「ねぇ、話してよ。無理しなくていいからさ。」
先輩……?」
だんだんと震えた声になっていく私の声。
どうしちゃったんだろう……
“可愛い後輩”の彼にこんなことまでしちゃうのは何で……?
「なんで……先輩がそんな寂しそうな声出すんすか。」
何故か私が慰められる方になってしまっていた。
猫神くんは私の抱擁に答えてくれてそっと背中を撫でてくれる。
「聞いたよ、好きだったこに振られちゃったって。寂しいよね、悲しいよね。」
彼の腕の中で泣きながら私が慰めの言葉を言って、
もうどっちがどっちに慰められているのかわからなくなってしまう。
「……先輩知ってたんスか。迷惑かけちゃったみたいで……すんません。」
「なんでそんなこと言うのよ!迷惑だなんてそんなことないよ!」
あふれ出る涙はとめどなくて拭っても拭いきれない。
「でも……!」

それでもまだ何かを言い出したがっていた彼の唇に
私は自らのそれを重ねた。
言わないで、それ以上言わないで……。
何も聞きたくなくてそのまま私から絡める舌。
驚いて目を見開く彼にもひるまず丹念に舐め取っていく。
何も考えられない。
ただ夢中で彼の唇をむさぼった。

「ねぇ、振り向いてよ優。私なら……私なら幸せにしてあげられるよ。」
息があがってきて苦しくなった頃、ようやくその唇を開放し
私は自然と彼にこぼした。

私は彼が好きなんだ。
もう可愛い後輩としてなんか、見られないんだ。

……俺……。」
「好き。もう今までみたいに見られない。」
戸惑う彼の視線をまっすぐに捕らえ、私は改めて告白する。
もう離れたくない、そんなこに渡したくない。

「もうちょっと時間をください さん、そしたら さんのこと真剣に考えられる。」
ふと真剣な顔から笑顔になって猫神くんは続けた。
「そんな気がするから。」

彼はそっと散乱した2つのかばんを拾い上げると私に手を差し伸べる。
「ほら、帰りましょう さん。」
「うん!」















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すっごい久々に書きましたね。
最近ノーマルではおなご攻めが大フィーバーなので
ヒロインさんにずばずばいかせました。
でもやっぱり女の子ですからね、特有の乙女なところを残しつつ……
猫も可愛い顔して男のこですからね、男らしいところも残しつつ……
って本当にそうなってるかなぁ?


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